
信用創造は英語に直訳するとcredit creationです。実際はmoney creationという表現も良く使われています。
creditはクレジットカードでお馴染みです。信用をベースにして買物をすることができます。
creationは日本語でもクリエイティブという使い方をしますが、何か新しいものを創り出す、創造です。
この信用創造は銀行特有の機能です。
銀行がお金の貸し出しを繰り返すことによって、銀行全体として、最初の金額(以下の場合は100万円)の何倍ものお金をつくりだすことをいいます。
一連の流れを見ながら具体的に確認します。
※理解を優先するために細かい点はこだわっていません。
まず中央銀行(日本の場合、日本銀行)がA銀行に100万円を貸し出します。そして、その100万円をそのままX社に融資します。

皆さんがX社の社長の場合、融資してもらった100万円をすぐに使いますか?融資は返さないといけないため、必要に応じてゆっくり使っていくかもしれません。そこで、必要な支出までしばらく別の銀行に預けておくとします。これをB銀行とします。

今回A銀行に融資してもらいましたが、日々の取引はB銀行が便利だったので、B銀行にしばらく100万円そのまま預けておくことにしました。
入金のあったB銀行はこの100万円をどうするでしょうか?
銀行は預かったお金を別の融資や投資などに回すことで収益を得ているのです。ただ、全部使ってしまっては、X社が「引き出したい」といった時に対応できないため、一部を「銀行の銀行」とも呼ばれる中央銀行に預けておくのです。
この時、預けておかないといけない割合のことを預金準備率と言います。今回は10%だったとします。
(なお、預金準備率はreserve ratio against depositsです。預金に対してリザーブ、予約しておく割合です)
B銀行は100万円の10%、10万円を残して、残りの90万円を活用できます。Y社に90万円融資したとします。

そして、Y社以降はその繰り返しです。

その結果、現在、お金の量はどうなっているでしょうか?
X社の社長は、「今、A銀行から借りてB銀行に預けたままにしている100万円がある」と認識しており、Y社は同じく90万円、Z社は81万円。
合わせて271万円の預金を一般企業が有していることになります。中央銀行が貸し出した100万円が271万円になったのです。新たに創造されたのです。
この機能を信用創造といいます。
中央銀行という唯一紙幣を発行できる絶対的な存在があり、その中央銀行とつながっている市中銀行(世の中の銀行)だからこそできるのです。
当然、銀行側は「貸し出した企業がきちんとお金を返してくれる」と信用しています。借りた企業は「銀行に預けておけば大丈夫」と信用しています。
お互いの信用が大きな価値を創造していくのです。よって、不景気や恐慌など、相手が信用できなくなれば、出回るお金の量が結果として少なくなるのです。その時、日本銀行の出番となります。
例えば、預金準備率を5%にすれば、銀行が企業に融資する金額が増えますよね。これを預金準備率操作と言います。
このように、お金が創造され、出回っていく上で、中央銀行と市中銀行は大きな役割を担っているのです。
では、英文で信用創造を確認しましょう。
Money creation is the process leading to an increase in the money supply. This money supply can be divided into 2 main categories:
CENTRAL CHART
信用創造は通貨供給量(マネーサプライ)の増加をもたらす過程のことである。このマネーサプライ主に2つに分けられる。
– currency: This is notes and coins in circulation within a country or geographical area. It represents about 5% of the world’s money supply.
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1つは通貨である。国や地域で循環している紙幣や硬貨で、それはマネーサプライの5%程度である。
– book money: This is money in the form of accounting entries. It represents 95% of the world’s money supply. This money does not physically exist, it is simply lines that appear on the debit or credit side of bank accounts.
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もう1つは預金通貨である。これは会計科目上のお金であり、マネーサプライの95%を占めます。このお金は物理的に存在しておらず、銀行口座の借方または貸方に表示される科目に過ぎません。
マネーサプライよりもマネーストックという表現が近年は使われていますが、要は、お金がどれだけ出回っているか?の総量を表すものです。
実際に私達の財布に入っていて、日々の買い物で使っている紙幣や硬貨は5%程度で、残りは預金口座などに記載されているだけで、物理的に存在しないもの、つまり、信用創造で創り出されたものなのですね。
景気の「気」は「気分」を意味すると良く言われます。私達が気分が大きくなり、相手を信用している時は好景気で、そうじゃない時が不景気というのも、こういった仕組みから理解することができます。
実際に出回っている通貨量がわずかで、残りの大部分が信用という話は以下の記事(動画)でも確認できますので、ぜひご覧ください。

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