アダムスミス、神の見えざる手を解説。実は「神」はつかない!

投稿者: | 2020-05-30

英文を読んで、サクッと分かる「神の見えざる手」

経済や市場原理を説明する際、「神の見えざる手」という表現が使われることが多いです。

英文を紹介しながら、「神の見えざる手」とはどういうものなのか?エッセンスを紹介します。

経済を知る上で重要となる50の話を掲載している 50 Economics Ideas You Really Need to Know (50 Ideas You Really Need to Know series)

同書のCHAPTER ONE は The invisible hand:「見えざる手」です。

invisible は visible 見える(見ることができる)を in で打ち消していますので、「見えない」となります。
ビジュアルなど、日本語でも使いますよね。

あれ「神の」がついていない!
と思っている方もいるかもしれません。

アダムスミスと言えば、国富論で、そして「神の見えざる手」というフレーズで有名です。

ただし、実際はアダムスミスは「神の」と一言も言っていないのです。

超訳「国富論」―――経済学の原点を2時間で理解するによれば、戦後、日本の経済学者が「神の」を付けるようになったようです。よって、ただしくは「見えざる手」です。

しかも、アダムスミスは国富論でたったの3回しか「見えざる手」という表現を使っていないようです。

Smith used the phrase only three times in his 1776 masterpiece TheWealth of Nations, but one key passage underlines its importance:

50 Economics Ideas You Really Need to Know (50 Ideas You Really Need to Know series)

スミスはこのフレーズを1776年の傑作The Wealth of Nationsで3回しか使っていないが、1つの重要な箇所がその重要性を強調しています。
※1回しか使っていないという指摘もあります。


ちなみに、The Wealth of Nationsとなっていますが、原著の正式名はAn Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Nations です。

inquiry は問合せとか調査と言った意味です。
nature は本質です。
「諸国民の富の本質と原因に関する研究」とも訳されます。

たしかに、私も学生の頃、国富論よりも「諸国民の富」という表現で習った覚えがあります。

では本題に戻りまして、この見えざる手とはどういうものなのか?

一般的に言われている範囲で、簡単にお伝えしますと、私たちが利己的、つまり、自分の欲しいと思うようなものを買うといった行動を行うことが、市場を通して、社会全体の利益になるといった考え方です。

各個人、欲求がある(例えば果物を食べたいとします)⇒果物を買いに行く(需要)⇒それを供給する人がいる

需要と供給で価格が決まる⇒青果市場で取引される⇒店頭で果物が小売りされる⇒その人は欲しかった果物が買える⇒生産者やお店は儲かる⇒社会全体ハッピー

こんな流れでしょうか。
これには様々な規制や関与は必要ないので「見えざる手」といった解釈がなされています。

この内容を理解する上で最適な英文を1つ紹介します。

In a free market, the combined force of everyone pursuing his or her own individual interests is to the benefit of society as a whole, enriching everyone.

50 Economics Ideas You Really Need to Know (50 Ideas You Really Need to Know series)

自由市場では、個人の利益を追求するすべての人の力が融合されることで、社会全体の利益となり、全員が豊かになります。

現在の経済において重要な考え方です。例えば、リンゴが高騰していても、それには理由があり、政府などが「リンゴの値段を下げよう」と手を出すことはありません。

でも、高いものは売れないため、結局、その後、適正な水準まで値段が下がることも。こういう原理が「見えざる手」ですね。

株価も買われ過ぎ、売られ過ぎとなれば、いずれ適正水準となります。

アダムスミスはまた、分業の重要性も唱えています。例えば、上の例でいうと、1人が果物を作って、販売するより、作る人と販売する人に分業する方が生産性が高いということです。

今では当たり前ですが、国富論でこういうことを唱え、現代の経済システムを築く上で重要な役割を果たしました。

ここまで私の解釈も含めお伝えしました。国富論、そして見えざる手には、様々な解釈があります。是非一度ゆっくり探求してみてください。

経済活動を行う上で、何かヒントがあるかもしれません!

50 Economics Ideas You Really Need to Know (50 Ideas You Really Need to Know series)

超訳「国富論」―――経済学の原点を2時間で理解する

アダム・スミス 諸国民の富 全2巻

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