
所得税など、所得が多くなればなるほど税率が高くなる。というのは知っているかもしれません。
日本の所得税や贈与税、相続税などは「超過累進税率」が適用されているのですが、少し勘違いしている人が多いので、ここで説明します。
厳密にいうと、所得が多くなればなるほど、多くなった部分の税率が高くなる。のです。
以下は2020年の所得税の速算表ですが、10%以降は「控除額」というのがあります。これは何?そしてなぜ5%にはないの?
これも「超過累進税率だから」ということで解決するのです。
課税総所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円以下 | 5% | - |
195万円超 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
もう少し分かりやすく説明すると、上の表は「速算表」なので、簡単に計算できますよ。という表です。
実際の税率をイメージすると以下のようになります。

このように「超過した部分」のみ税率が上がるのです。
よって、どんなに所得の多い人でも、195万円までは5%なのです。
「あのスポーツ選手は所得が多いから税率が高い」と言ったりしますが、確かに実効税率という点では間違いありませんが、所得が多いから所得全体に高い税率が適用されているわけではないのです。0万円から195万円まではみんな等しく5%なのです。
では所得(収入ではありません)が650万円の人の気持ちになってください。
3つの階層に分けて、いちいち税額を計算し、すべてを足したのが、その人の税額となります。つまり4回計算しないと税額がでてきません。
そこで、面倒くさいので、一気に20%を乗じてください!というのが速算表なのです。
「でも、それでは全体に20%を乗じることになるから払い過ぎになるよ」と気づいた方は大正解です!
そのため、隣に控除額があるのです。あらかじめ「払い過ぎ」となる分を計算してくれているのです。
だから、5%のところに控除額がないのも納得ですよね。
厳密には単純に全体の税率がどんどん上がることを「累進税率」と言います。一般的には混在して使われていますので、ぜひ皆さんは意識的に「超過累進税率」と言うようにしてください。
いずれにしても、所得の多い人ほど税負担が多くなることに変わりはありません。そのおかげで・・・
続きは以下の英文でご確認ください!
The personal income tax system contributes to income redistribution via the progressive tax rates.
金融英文700選 (KINZAIバリュー叢書)
個人の所得税制は、超過累進税率によって所得再分配に貢献している。

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ピンバック: 所得税における総合課税と分離課税の違い。超過累進税率とは? – えいごのみー英語と経済同時に勉強!